「Kaguya5〜月のウサギの銀の箱舟〜」
- 作者: 鴨志田一,葵久美子
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/09/10
- メディア: 文庫
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本編で宗太が「少しくらいやさしくなれたのかな」なんて言ってたように、Kaguyaは痛みとやさしさの物語だったんだと思いました。痛みしか感じられなかった世界から、宗太はひなたと出逢ってゆうひが生まれて、やさしさを知って。皆が皆幸せにはなれないことも理解した上で足掻いて、痛みも残して。でもただ痛いだけの痛みではなくて、それをやがて癒える過去にすればいいと、そうなるようにしようとしたんじゃないでしょうか。そこにあった宗太の覚悟はだから立派だし、それを支える為にひなたもいた。
だからこそ、ゆうひの存在は2人にとって何だったんだろうと思う訳なのですよ。正直、2人にとってゆうひは邪魔な存在なんじゃないだろうかと、ずっと邪推していたこともありました。ひなたを失った後の宗太とゆうひのシーンもそれを裏付けているように見えなくもなく。ラストでどうしてゆうひが月に残ったことを納得できたのかが疑問に残ります。ゆうひがゆうたと共にいなければならないなら、2人は2人を迎えに行ってそばにいるべきじゃないのかなぁ。結局、人間とアルテミスコードとの境界が見えてしまったようで、少し後味が悪いです。だって、この私の邪推はただ痛いだけの痛みなんですからね。ゆうひが無邪気な分、ゆうひがなんて不憫な子なんだと悲しくなります。
もっとも、大人の事情でもう1冊だせなくなってぎゅっと圧縮した結果、言葉不足になってしまったのかもしれないな、と欄外の感想を持ってきてみるのでした。だからこそ、補完するアフターストーリーが本当に欲しいなぁ、と思う訳で。やっぱりこういう話はハッピーエンドで締めて欲しいのですよ。それからの2人とゆうひの話、黒川さんと京の話、福島礼司の過去話、アリサの子作りの話w、でもう1冊だして欲しい。5巻にしてようやくシリアスなストーリーに対する感想も書いてみました。